GWの休みを利用して友人がニカラグアへやってきた。
彼女がマナグア空港に着いたは夜10時近く。
一人旅と言うこともあるし、私の生活を知ってもらうため、1日目はうちに泊まってもらうことにした。
ちょうど、大家さんのお姉さん夫婦もコスタリカから遊びに来ていて、うちの中はとても賑やかだった。
友人は旅の疲れも見せず、とても元気そうで安心した。
それにしても彼女の肌は ニカラグアの陽射しでこんがり焼けた自分の肌を見慣れているからか、眩しいくらいに色が白く感じた。
彼女と私が知り合ったのは、高校生の部活動時代。
3人組で仲良しなのだが、もう一人の仲間が、あいにく休みが取れなかったため、今回は彼女が勇気を出して、一人でニカラグアへやってきた。
スーツケースを開けると、右半分には日本からのお土産がぎっしりと詰まっていた。
一つ一つ、手に取りながら、友人達の愛情を感じて、改めて感激した。
お土産の中のひとつに、私がコレクションで集めているデンマーク製のボールペンも入っていて驚いた。
ヒューストンの飛行機の乗り換え時間に見つけて、買ってくれたらしい。
さて、ニカラグア周遊 1日目はグラナダ。
グラナダに職場のある日本語教室の生徒の女性にグラナダ観光を案内してもらった。
まずは“ランチャ”と呼ばれる船に乗って、ニカラグア最大の島、ニカラグア湖の島巡りを楽しんだ。
ニカラグア湖は琵琶湖の8倍の大きさのある湖で、大小あわせて500近い島がグラナダ付近にあるという。
市内からは島があるように思えなかったが、船に乗ると島に挟まれた美しい水路が 迷路のように張り巡らされていた。
眼前には美しい単独峰のモンバチョ山が見え、近くにはたくさんの水鳥たちが羽を休めていた。
島巡りの後はグラナダの大聖堂の鐘楼まで登って、フィレンツェを髣髴とさせるような美しい街並みを眺めた。
夕食はグラナダで活動する隊員たちと合流して、お肉料理のレストランへ。
なんとも美しいレストラン。
歯のCMに出てくるような、笑顔のはじけるメセロ(ウェイターさん)のサービス。
柔らかくて、おいしいお肉においしいデザート。
仲間の隊員さんたちは、たった3日のために友人がニカラグアへ来たことに驚き、
「どれだけ仲が良いの!」
と言って、笑った。
夜はグラナダの街並みに馴染んだ、美しいホテルで休んだ。
そして 2日目。
まずは グラナダの市場を通り抜けて カタリーナへ向かった。
カタリーナはモンバチョ山、グラナダの街並み、そしてニカラグア湖を一望できる展望台のある、標高が高くて 涼しい場所。
眺めの良い場所にある食堂で、恰幅と愛想の良いおばさんに作ってもらったニカラグアの典型的な朝ごはんを食べた後、ゆっくり散歩しながら、景色を楽しんだ。
カタリーナを出てから、マサヤの市場へ向かう。
マサヤへ向かうバスの中で、隣の席のおばさんがいろいろと話しかけてくる。
「あんた、結婚してないのかい。何歳だい?子供はいるのかい?」
なかなか気さくで面白いおばちゃんだった。
さて、マサヤの市場は物が豊富で、安くて、人気がある。
マサヤの市場ではいろいろな店を覗きながら、
「あの人にはこれ。○○さんにはどうしよう~」
と、一緒にお土産物を選び、値段交渉を引き受けた。
マサヤの市場でゆっくり買い物を楽しんだあと、バスで、マナグア経由でレオンへ向かった。
グラナダからカタリーナまでバスで1時間。
カタリーナからマサヤまで20分。
マサヤからマナグアまで40分。
そして、マナグアからレオンまで1時間半。
2日目は すごい移動距離だ!
暑い街、レオンに着いたのは、特に一番暑い午後3時前。
長いバス移動と、暑さのせいで ちょっと疲れていたが、大聖堂の上に上るなら4時半まで、と時間に制限があったので 先に登ることにした。
私は大聖堂の天井に登るのは2回目だったが、やはり美しい街並みで感動した。
そして、1回目登ったときは来た当初だったが、今回はニカラグア生活10ヶ月目に突入したので、ガイドの説明をほとんど理解することができたので、大聖堂と教会との関係、山の名前、街の歴史などが良く分かって勉強になった。
夕方、レオンで活動する仲良し同期隊員と会って、まずは夕食を食べに
“ロス ペスカディートス”(お魚さんたち) という名のレストランへ。
ここの"ぺスカード アヒーヨ"(お魚のにんにくソースがけ) はおいしかった。
食後、その昔、インディヘナの街の中心だったというサンクリスティアーバ教会の横を ぶらぶら歩いて帰っていると、向こうの方に“ペロンバス”という市内観光バスが走っているのが見えた。
「あ、ペロンバス・・・」
と私が言い終えるのが早かったか、彼女が走り出したのが早かったか分からないスピードで、同期隊員の友人が猛然とバスに向かって走り出した。
その足の早かったこと!
私たちも必死で後を追う。
彼女がガイドのお姉さんに交渉してくれたおかげで、私たちは念願のペロンバスに途中乗車することができた。
ペロンバスは最高だった!
天井のない1階建てのロンドンバスのような乗り物は、夜のレオンの街に吹く爽やかな風と 大音量でかかるラテン音楽が 気分を盛り上げてくれる。
ペロンバスは終点の大聖堂前の中央公園前に着き、同期の友人の彼女が私たちをホテルまで送ってくれた。
その日の夜、私たちが泊まったホテルはとてもかわいい中庭のある、小さなホテルだった。
3日目は朝ごはんをホテルの中庭で頂いてから、マナグアへ向かった。
友人のスーツケースを取りにうちに戻ると、うちのおじいちゃんが家の庭に座っていた。
私たちの顔を見ると、
「お前さんたちが旅行に行っとる間、わしは日本へ行って、彼女のお母さんに挨拶してきたんじゃ。」
と言って私にウィンクした。 なんてかわいい人なんでしょう!
日曜の朝の飛行機の便が早朝だったので、マナグアのホテルで最終日の夜は泊まることにした。
ホテルへ向かうタクシーの中で、友人が
「思い切って来て、ほんまに来てよかった。」
と言ってくれたのが、なんとも嬉しかった。
きっと、私が大好きなニカラグアを、彼女も好きになってくれたことが嬉しかったのだろう。
ホテルに荷物を置いた後、フライドチキンの昼食を食べ、マナグア市内を一望できる小山へ案内した。
そこは私がマナグアの中でも大好きな場所で、なんどか訪れたことがあったが、その日初めて、そこで“カノピー”を楽しんでいる人たちを見た。
“カノピー”とは、小さな湖の上にながーいロープが三角形に渡されていて、そのロープに掛けられた滑車に摑まって、向こう岸に渡るというもの。
カノピーから湖面まで、優に10m以上はあるだろう。
恐ろしい・・・
なんでもその昔、滑車のブレーキが利かなくて 壁にぶつかり、そこで重症を追った人が新聞に載ったとか。
でも見ていたところ、無事に全員到着。ホッ☆
展望台を降りてから、スーパーへ向かった。
スーパーの中はひんやりと涼しく、買い足りないお土産を ゆっくりと選んだ。
一旦、ホテルに戻って、荷物を置き、汗を流すことに。
私はこの旅の間、
「私、日本にもう戻れないかも~」
と弱気なことを言って、友人に心配を掛けてしまっていた。
しかし。バスタブ付きのこのホテルのお風呂で、熱いお湯をはって身体を沈めると、あーら不思議☆
「日本を離れて10ヶ月かぁ。思えば、長い月日が経っていたんだなぁ」
と郷愁のような思いが、ふつふつと心に湧いてくる。
お風呂の力は、私を日本人に戻すすごい力があった。
これで、日本人に戻れる自信がついた感じがした。
お風呂から上がった後、おいしいコーヒーを飲みに夕方からカフェへ出かけた。
2階のテラスにあるカフェでのんびり話を楽しんだ後、ぶらぶら歩きながら、ニカラグアの典型的な料理を振舞うレストランへ向かった。
おいしいお料理と、哀しいギターの音色に合わせて歌う、ニカラグアの曲を楽しみながら、飲み、食べ、おしゃべりした。
3日間、彼女がおいしそうに料理をきれいに食べてくれたのが嬉しかった。
ニカラグアに 自然に溶け込んでいる様子が 素敵だと思った。
一番熱い季節に来たのに、楽しんでくれて安心した。
ホテルに戻り、湯船に浸れるのが嬉しくって、またお風呂に入ってしまった。
何度入っても、たまらなく気持ちがいい。
やっぱり私は日本人だった、と改めて確認。
翌朝早く起きて、友人を見送りに空港へ向かった。
夜明け前の空港で、別れを惜しんだ。
たかちゃん、会いに来てくれて、ありがとう。
1年と2ヵ月後、今度は日本で会いましょう。