ニカラグアに東洋医学の治療院があります。
うちのお手伝いさんのリリアンは骨折して以来、
「足が痛い」
と、足を引きずって歩いていました。
セントロ・デ・サルーという、公共の医療施設で見てもらっても
原因ははっきりしないまま。
そして最近は、骨折した右足だけではなく、
左足まで痛くなってきたと言っていました。
日によって痛みが違うようですが、
あの明るいリリアンが痛そうなときは顔を歪めていました。
以前はリリアンを日本へ連れていかなければ治らないのかも、
と思っていましたが、
先日わたしが受けたバウティスタ病院の治療がとても良かったので、
ニカラグアでも良い治療が受けられるところはあるんじゃないか、
と気づき、そこも以前に一度行った、
日本人の方が運営・治療されている東洋医学のクリニックに、
わたしが帰国するまでに一度連れて行きたい、
と思うようになりました。
但し、問題は治療費。
リリアンのお給料は一日中、休みなく働いても、
土日も別の家で働いているのに
ほんの僅か。
そしてわたしたち協力隊員も現地の人たちと
同じ水準で暮らすための生活費をもらっているので、
余裕のお金は全くといっていいほどありません。
治療院へ連れて行くことを思いついてから
1週間ほどどうしようか考えていましたが
ちょうどその翌週、3月14日がリリアンの誕生日だと知り、
治療院の初診料をプレゼントすることを思いつきました。
それをリリアンに伝えると、治療院に行けることを喜び、
それから初診料の半額はわたしが払うわ、と言ってくれ、
これにはわたしも驚きました。
そうして、今日の午前9時に予約を入れ、
出発する用意をしているとママが
「行くわよ」
と言うではありませんか。
「?? どこへ??」
「クリニックよ。
わたしも背中と肩が痛いから見てもらいたいの。」
車で連れていってもらえるのはありがたいなぁ。
それにしてもなんてちゃっかりしているんでしょう。
それから女3人で少し離れたところにあるクリニックへと向かいました。
風が吹き通る天井の高い受付で手続きをしていると、
先生がいらっしゃいました。
先生はわたしの日本語クラスの学生のお父様。
普段わたしが見ていた、娘を送り迎えしている方とは
別人のようでした。
先生はリリアンを連れて診察室に入っていって
しばらくしてから出てこられました。
「骨折をしたときの後遺症でしょうね。
あとは関節炎。
左足も右足をかばっているから痛くなっているけど、
治りますよ。大丈夫。」
ずっとその言葉が聞きたかったのです。
ああ、良かった!
待合室で2人の治療が終わるのを待っているとき、
このクリニックでたくさんのニカラグア人が働いていることに
感心していました。
ここでは昨年、大学も新設され、
今、ニカラグア人が東洋医学を学んでいます。
ここまで来るのに、どんなにたくさんの
紆余曲折を経験されてきたのでしょうか。
診察を終えて出てこられた先生とお話しているときに
そのことをお伺いすると、
「いやぁ、楽しみながらやってますから」
とおっしゃっておられました。
たった2年の生活でヒィフゥ言っている自分が恥ずかしくなりました。
リリアンをクリニックに連れて行くまでは
いろいろ難しく考えていましたが、
原因も分かり、本当にすっきりしました。
これから2人はしばらく通院することになるようです。
ママもリリアンと通院できるのが嬉しい様子。
わたしはもうすぐいなくなるし、
これからママがリリアンの分も面倒見てくれれば、
と秘かに願っています。
リリアンの足が良くなりそうで本当に良かった!